通常の分割受取りであれば、確定拠出年金の全額を受取らずに途中で亡くなってしまった場合、残りの分は遺族が受取ることができます。
ですが終身年金の場合、保証期間が過ぎた後は本人が亡くなってしまうと、それ以降遺族さえも受取ることができなくなります。
つまり、終身年金で受取る場合は、長生きをしなければ総額で受取れるお金が少なくなり損をしてしまうことになるということです。例えば、保証期間5年の場合、万一受取開始5年後に亡くなれば、受取総額は元本の2割程度となってしまいます。
では、いったい何歳まで生きれば、損をしなくて済むのでしょうか?
条件によって多少前後しますが、現在の低金利では、大抵の場合80歳代後半くらいとなります。(60歳から受取りを開始した場合)
例えば、90歳を超えるほど長生きするのであれば、確定拠出年金をお得に受取ることができるということになりますが、反対にそこまで長生きしなければ損をしてしまいます。
つまり、終身年金を選ぶ際は「90歳程度を損益分岐点」として、慎重に考える必要があるということです。
また、分割受取りの場合は、受取りを始めてから5年経過後であれば、一括受取に変更することができる場合があります。(詳しくは「
意外と知られていないDCの受取り方裏ワザ」をご覧ください)
ですが、終身年金という受取り方を選んだ場合は、5年経過したとしても一括受取に切り替えられない場合が多く、たとえ一括受取りに切り替えられたとしても、その金額は、本来よりもかなり少なくなってしまいます。
平均寿命が昔と比べて長くなっているとはいえ、確実に90歳以上生きると自信を持って言える人は少ないのではないでしょうか。
では、どのような人に終身年金は向いているのでしょう。
「90歳以上も生きていた場合に備えておきたい」「遺族にお金を残す必要がない」という方であれば、終身年金を選んでも良いかもしれません。
老齢給付金の請求書類を提出してしまったら、後から取消しをすることはできませんので、どのような受取り方をするか、慎重に考えてから請求しましょう。